音楽をアルバム単位で聴く。
ミーハーなものでして。
キラーチューンを聞いてこのアーティストかっこいい!って思ったらそればっかり聞いてしまいがちでして。
だから基本的に一曲聴いておしまい、みたいなアーティストばかりになってしまいました。
私、思ったんです。
それって果たして音楽をちゃんと楽しめているのだろうかと。
彼らが紡ぐアルバムという一つの作品に目を向けられているのだろうか。
そうだ。音楽をアルバム単位聴いてみよう。
そう思って私は音楽アプリを開いたわけでして。
People in the box 「Family Record」
昔読んでいた漫画作品に「東京喰種」という作品がありまして。
そのアニメのエンディング曲を作っていたのが前述の「People in the box」というアーティストでした。そのエンディング曲のタイトルが「聖者たち」。未明の空のような独特の浮遊感を感じる、暗いような明るいようなを行ったり来たりする素敵な音楽でした。
そんなわけで、彼らのアルバムを一つ、聴いてみることに。それがこのアルバムでした。ここからは感想です。
とにかく凄かった、に尽きます。正直言葉では上手に説明ができないというか。アルバムの一曲一曲が個性的で、かなり尖っているのですが、全ての曲が構成された世界観の地続きになっていて、一曲だけで聴いてしまうのは勿体ないと感じました。曲のタイトルが全て土地の場所なのも影響しているのかも。
曲で選ぶと、最後の方の曲である「JFK空港」という曲が特に大好きになりました。全ての曲を包括するようなスローテンポで美しい旋律。でも、どこか「終わり」や「死」を連想するような、終末的な美しさというか。この曲も一曲前の「スルツェイ」によってさらに壮大に聴こえてくるのです。
一曲一曲聞くのもよいのですが、とにかくこのアルバムをフルで一から聴いて欲しいと思いました。
他にも「Rabbit Hole」や「Ghost Apple」などアルバム単位での聞き応えが素晴らしいアルバムばかりですので是非。
Snail’s House(Ujico) 「 L'été」
フランス語で夏、という意味らしいです。
このアーティストはYouTubeのおすすめに流れてきた「pixel galaxy」という曲で知りました。ゲーム音楽のようなインストの音楽で、可愛くてノリノリな音楽で、今でも聴いている大好きな曲です。
でもこのアルバムは最初からひたすらに寂しくて泣きたくなる曲ばかりでした。小さい頃の夏、特に小学校の夏休みが終わるあの寂寥感を想起させられるような音楽ばかりで。
目を閉じれば、緑の野山にターコイズの空、天を貫く入道雲、そして夕立の開けたオレンジの空。それらがくっきりと見えてきました。5時の鐘、踏み切り、風鈴、蝉の声などの環境音が余計に時間の無常さや、移り変わる景色の切なさに彩を加えています。
一曲一曲聴いても全て聴きやすく、気持ちいい音楽なのですが、アルバム単位で聞けば必ず、誰もがうちに秘めた「あの頃の夏」を思い出し、涙できると思います。
口ロロ(クチロロ) 「everyday is a symphony」
最近になって人伝いで知りました。
名前が面白いですよね。つい口ずさみたくなる。いとうせいこうさんがメンバーらしいです。そもそも私はいとうせいこうさんを知らないのですが。
このアルバムの代表曲であり、彼らのキラーチューンの一つにもなっている「00:00:00」は真夜中の東京を散歩したくなるような、歩道橋からビル街を眺めたくなるような、とにかく都会の夜の浮遊感満載な曲で。また、全体的にメロディが新しいようで、少し懐かしさを覚えます。
また、このアルバムも環境音の入れ方がめちゃめちゃカッコ良くて面白いです。電車のアナウンスだったり、時報のような音だったり。中でも「温泉」という曲は必ず聴いてほしいくらい音楽の面白さを感じられる一曲です。
そんな浮遊感のある独創的なチルポップと、ノリノリになれる楽しいラップポップの温度差をはっきりと感じる、例えるなら昼と夜を延々と繰り返す当たり前の日常に寄り添う素敵なポップアルバムだなと。
終わりに
今回はこの3枚を紹介させていただきました。どれも大変素晴らしいアルバムでした。皆さんもぜひ聴いてください。
アルバム単位で音楽を聞く。レコードが当たり前だった時代では、CDみたくトラック選択もできなかったわけですから一枚を全て聞かなければ曲を聴けなかったわけですよね。
でも、だからこそ音楽の愛し方も今と全然違ったのかな、なんて思ってしまいました。
もし、読んでくださっている方のの中にアルバム単位で聴いてこなかったなぁと思った方がいらっしゃいましたら、この機に好きなアーティストのアルバムを聴いてみてはいかがでしょうか。
それでは。