単眼のメガネと世界秩序

 吉川さんは普通のメガネをかけている。

 

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(吉川さん、アナーキー・イン・ザ・jk)
単眼ってかわいいですよね。
種族なのか属性なのか。むずかしいけど、とりあえず萌えの一ジャンルに違いない。
歴史的には、現実の単眼症がある一方で、サイクロプスとか一つ目小僧とか、架空の異形な単眼が昔からあって。
だからこそ彼女たちは、しばしばファンタジーにおける「モンスター娘の一種族」として存在するんですね。モン娘のいる日常とか異種族レビュアーズとか。

 

それで。
吉川さんの眼鏡なんです。
彼女の世界に単眼メガネがあるのか普通のメガネだけなのかはわからないけど。
単眼の女の子って専用の単眼メガネをかけたくなるじゃないですか。

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こういうやつ。
こっちのほうが無理がないというか、不便が少なそうだし。単眼の象徴的なアイテムもしてくれる。

単眼メガネって、ファンタジー的に正しい営みだと思うんです。
単眼という種族がいて、長く世界に居着いているのなら、種族に見合った文化も生まれて、眼鏡みたいな既存のものもアレンジされたりするはず。
...というと大げさだけど。
バリアフリーとか迫害とかとは違って。種族って、世界の席のようなものだと思うんです。種族があると、その世界観に彼女たちの席がちゃんとあるんだなという気がする。
われわれは創作になにか架空の存在がいたら、それに付随するこれもこうなるだろうって、存在と世界を折り合わせてく作業を必ずすると思う。近未来の刑事だったら拳銃だって変化していたり、ハーピーだったら郵便配達をしていたり。
単眼メガネはべつに彼女たちになにか設定や説明を付け加えるわけではないけど、彼女たちを世界の豊穣さの一部としてくれている。異世界か現実な世界かに関わらず。
それは、やっぱりファンタジーとしては正しいんだと思います。

 

単眼は種族なのか、属性なのかという話を少しだけした気がします。
たとえばケンタウロスの女の子が、ひとりうつる現代のイラストがあったとして。
ケンタウロスなら、ああその世界にはケンタウロスという「種族」がいるんだな、ってなると思うんです。
画面にうつるのは一人だけど、たぶんその世界にはふつうに無数にケンタウロスたちが存在しているんだろうなと。とくに説明されなくても。
単眼のイラストも、べつに条件は同じなはずなんですけど。
けれど単眼の場合、なんとなく彼女がその世界でも一人だけな存在のような気がしてしまう。種族ではなく、人類の例外的なバグや属性として存在するような感じ。
ケンタウロスや人魚とちがって、ヒトとごく近縁な見た目を残しているからなのはあるでしょう。現実の単眼症が単眼の直接のモチーフになっているとは私はあまり思いませんが、見る側が思い出して見るのはあるかもしれない。
理由は色々あるだろうけど、とにかく。
単眼のひとつの魅力は、そんな存在の揺らぎに思えるんです。昔からファンタジーの異種族として存在したはずなのに、どこかその世界に還元できないなにかを期待してしまうような。

 

普通のメガネは単眼の席を用意しない。
彼女は豊穣な世界の一部ではなく、世界はまるで彼女を読み取れないかのように振る舞っている。
べつに存在論や世界観の話だし、本人たちにはかんけーないことなんだけど。
ただ、そんな。世界の豊穣さみたいなものからはみ出したとき、彼女たちは少しだけ普通の存在にも特別な存在にも見える瞬間があって。
そんな瞬間がたまに見えるのも、単眼の可愛さ美しさの一つな気がしますよね。

では。